東野圭吾著「マスカレード・ゲーム」を読みました。

マスカレード・ホテル、マスカレード・イブ、マスカレード・ナイトに続く、マスカレードシリーズも第4作目を迎えました。
木村拓哉さん、長澤まさみさん主演で映像化もされた東野先生の人気シリーズの一つですが、今作もミステリーというよりもエンターテイメント要素が強い内容となっています、

初冬に立て続けに発生した刺殺事件の被害者にはすべて前科があり、当時の被害者遺族が納得できるような刑罰を受けずに社会復帰を果たした人物でした。
そしてクリスマスを迎え、過去二度にわたって殺人未遂事件が発生したホテル・コルテシア東京に当時の被害者遺族が宿泊することが分かり、新田警部をはじめ、過去シリーズにも出てきた警察の面々が集結して事件解決を目指していきます。

未成年が罪を犯した場合の刑事事件での取り扱い、心神喪失、心神耗弱による刑事責任能力の有無、被害者の被害に対してあまりにも軽い刑罰など、司法システムへの問題提起を軸に、被害者遺族のいつまでも続く憎しみや虚しさ、苦悩して先に進めなくなっている状態が丁寧に書かれています。

今作では新キャラとして梓警部が登場しますが、男社会の中で若くして出世した優秀な女性ということで、他の男性刑事達の視点では敬遠されるようなキャラクターとして描かれているのが面白かったです(^O^)

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登場人物や内容をメモしていこうと思います。φ(..)

  • 新田浩介
警視庁捜査一課の係長で、入江悠斗刺殺事件を担当している。
同じく捜査一課本宮警部が抱えている狛江市での高坂義広刺殺事件、梓警部が抱えている吉祥寺での村山慎二刺殺事件との関連性を調べているうちに、神谷良美がホテル・コルテシア東京にチェックインしたことで、またしてもホテルでの潜入捜査をすることとなる。

  • 山岸尚美
ホテル・コルテシア・ロサンゼルスから藤木総支配人に呼ばれ、急遽帰国した。
ホテル・コルテシア東京に在籍していた頃に二度事件を経験し、今回も警察との連携役として動く。

  • 神谷良美
夫とは死別し、神奈川県藤沢市で息子の神谷文和と二人暮らしをしていた。
入江が殺害された当日、友人を誘って横浜へ観劇に行きレストランで食事をしていたということで、アリバイは成立している。
12月23日から二泊の予定で、ホテル・コルテシア東京0707号室に宿泊。
文和が亡くなるまで24時間献身的に息子の看護をし、文和の死後民事訴訟を起こそうと入江の身元を調べていた。

  • 入江悠斗
17歳の時に、駐輪禁止の場所に自転車を駐めようとしたことを大学二年生神谷文和に注意され、かっとなり激しい暴行を加えた結果、被害者は植物状態となり約一年後に亡くなった。
少年院送致後に溶接や切削の資格を取り、更生保護施設を出てから就職している。
12月1日、自宅にてナイフで刺され死亡。
スマートフォンの位置情報によると、少なくとも昨秋より毎週土曜日の夕方、町中を延々と歩き回っていることが分かった。

  • 梓真尋
警視庁捜査一課の係長。
若くして捜査一課の係長となり、現在は能勢警部補を部下として使っている。
新田、本宮達と合同捜査となり、後方支援と情報分析を担当し、サイバー犯罪対策課と連携して捜査を進める一方で1406号室に自費で部屋を取り、独自のやり方で動こうとしている。

  • 前島隆明
村山慎二によるリベンジポルノの被害に遭って自殺した中学三年生前島唯花の父親。
12月24日から一泊の予定で、ホテル・コルテシア東京1105号室に宿泊。
自由が丘でジビエ料理のレストランを経営している。

  • 森元雅司
高坂義広が起こした強盗殺人事件で殺害された森元敏恵の息子。
12月23日から二泊の予定で、ホテル・コルテシア東京0911号室に宿泊予定。
「不可解な天秤」というブログを「マルチバランス」という名で運営し、多くの事件について個人的な考察を綴りながら日本の司法システムの理不尽さを長年訴え続けていた。

  • 三輪葉月
12月24日から一泊で、ホテル・コルテシア東京0821号室に宿泊。
横浜地検で検察官をしていたが退職し、現在は弁護士。
検察側、弁護側それぞれの立場から罪を犯した人間に寄り添ってきたが、次第に思い悩むようになり鬱病を発症した過去がある。
新田とは大学時代の同期。
「尾方道代」を名乗って大畑信郎に接触し、連絡先を交換してやり取りをしていた。

  • 長谷部奈央
5年前、交際相手の大畑誠也を自宅で刺殺し逮捕された女性。
犯行時に精神安定剤を大量に服用していたことを考慮され、刑事責任能力は問えないとして不起訴となっている。
釈放後には神奈川県三浦市のグループホームに入所し、同じく入所者だった三輪葉月と知り合った。
12月24日、被害者の父大畑信郎が「小林三郎」という偽名を使ってホテル・コルテシア東京1501号室に妻貴子と共にチェックインした。

  • 沢崎弓江
12月24日から一泊で、ホテル・コルテシア東京1610号室に宿泊。
ネット予約の際の住所は、神奈川県三浦市となっていた。
以前大麻取締法違反で逮捕歴のある佐山涼と共にチェックインしたが、後から友人たちを部屋に呼びクリスマスパーティーを行っていた。


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「ファントムの会」に集まった同じ境遇の人達に気持ちを吐露し、社会に出てきた犯人たちをSNSで特定して監視するという、一見何も生み出さず憎しみしか溜まらないのでは?という行為でも、被害者遺族にとっては現実に向き合うための必要な手段だったのだと思いました。

内容は重々しく、それぞれの遺族の語りは小説であることを忘れてしまうほどに悲しみや苦悩が伝わってきます。

マスカレードシリーズは、今回で区切りがいいのでいったん完結といったところでしょうか。
新田さんが、これまでとは異なる立場からコルテシア東京に留まって事件に関わる新章にも期待できますが、事件は全部未遂で終わったとはいえホテル自体が事故物件のようになってきているのはちょっと怖いですね(・・;)



↓前回までの記録はこちら

雫井修介著「犯罪小説家」2022年11月11日

中野京子著「絵の中のモノ語り」2022年10月7日

南原詠著「特許やぶりの女王 弁理士・大鳳未来」2022年7月29日

湊かなえ著「残照の頂 続・山女日記」2022年5月27日


東野圭吾著「透明な螺旋」2022年4月29日

中山七里著「嗤う淑女二人」2022年4月15日

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2021年の読書記録はこちら↓↓

2020年の読書記録はこちら↓↓




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